2017年1月19日木曜日

自分とバイクの傷を確認 そして…

ケガの具合はどうだ。
ひざ、もも、腕、顔面、いたるところに擦り傷や出血もある。
ただ、骨は折れてはいないようだ。
腕も上がる。足も上がる。首も回る。
体のあちこちが傷むが、動けないこともない。

バイクはどうだろう。
ホイールは回る。ブレーキも効く。
変速も問題ない。ハンドルも動く。

「リタイヤ…しなきゃいけないのか」

ここで止めたら、来年の佐渡Aに出られない。
佐渡への出場権を得るために、
東京から丸々12時間もかけ一人で能登半島の先端までやってきた。

体もバイクも動く。
まだ諦めるには早い。

「続けます」

そうスタッフに告げ、駆けつけてくれた救護車で簡単に応急手当を済ます。

そして、バイクにまたがりペダルを踏んだ。

体は動く。バイクも動く。生きている。

もしガードレールの向こうが崖だったら、助からなかっただろう。

生きている喜び、感謝、落車の恐怖、峠を登れなかった自分への情けなさ、怒り、危険を犯してしまったことに対する家族への申し訳ない気持ち…

それでも自分は今、生きて、ペダルを漕いでいる。

グチャグチャの感情が押し寄せ、涙が出てきた。

そして何とかバイクを終え、ランに入る。

さすがに快調に走ることはできないが、それなりに走れる。

暑さ対策で水をかけてくれる人もいたが、キズに沁みるので断る。

流血しながら走る自分を見てビックリるする沿道の子ども。

「血が出てますよ!大丈夫ですか?」と呼び止めるスタッフ。

「わかってます。大丈夫だから走ってるんです!」と心で叫び、走り続ける。

そして20kmを走り終え、波乱のレースを終えた。

フィニッシュ写真を見ると、さすがに爽やか笑顔とはいかず、
苦渋に満ちた顔でのゴールだった。

ちなみに、珠洲の海はとてもキレイだった。
翌朝、海で遊んでいる選手を見た。

ケガをしていなかったら、ぜひともひと泳ぎして帰りたかった!

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